キバナ 小説。 ドラゴンストームの初恋

ドラゴンストームの初恋

キバナ 小説

by: 新ポケットモンスター第20話「夢へ向かってゴー!サトシとゴウ!!」のあらすじ・感想まとめです。 放送後の内容の振り返りと、実況スレから視聴者の感想を掲載しています。 参加者の子どもたちと一緒に、ポケモンバトルや、ポケモンゲットの楽しさに触れた二人は、改めてそれぞれの見果てぬ『夢』を再確認する。 そこにまさかのルギアが現れて・・・!? 不意の対ロケット団戦でワンパチやる気満々だったのに、相手が2体だったのでタッグバトルからはじき出されてしまい、電気技で効果抜群が狙えたのに出る幕無し。 コハルのバトルセンス・やる気のなさに怒っていました。 クチバシティで公式戦にジョウトポケモンを出しても金銀準拠でルール違反になりませんが、ガラルポケモンを出すと多分ルール違反です。 野生ポケモンとロケット団は文句を言いませんが、人間レフリーをクビにしたAIドローンロトムは、「そのポケモンは使えません。 」と無情の宣告をします。 サトシ・ゴウ・コハルでポケモンマスターズチームを組むと、ラビフットとワンパチがバトル苦手なゴウチーム・コハルチームのヘッドコーチです。 サトシは総監督です。 ストレートモンスターボールを確実にヒットするカモネギは、チェンジアップにタイミングが合わず空振り、ゲットされました。 ネギガナイトに進化すればガラル要員です。

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#dnkb #pkmn腐小説100users入り 楽園で一番綺麗な花

キバナ 小説

* キバナが生まれたばかりの日、キバナは当然全く思い出せないのだけれどナックルシティ中がお祭り騒ぎになったそうだ。 空には見たこともないくらい大きな大きな虹がかかかって、城壁の向こうからからドラゴンポケモンたちの祝福するような咆哮が響き渡っていた。 リュウゼツランとかいう百年に一度しか咲かない背の高い大きな花がそこら中に咲いたのが、ちょっとしたニュースにもなったそう。 ものすごい勢いで花屋からキバナコスモスが姿を消したのだってこの日だ。 他にもお祝いのためにケーキ屋さんは大忙し。 こんなに沢山のケーキを作ったことなんてないわと、お店のお姉さんはくらくらした。 そうして街の人々は赤ん坊であるキバナを一目見ようと、熱に浮かれたように列をなしてジムを訪れ、そのあまりの可愛らしさに顔を綻ばせた。 この子がナックルジムの後継者か!ジムリーダーであるお父様によく似ていらっしゃる。 大変賢そうだ。 何を言っているの、この青い瞳はどこからどう見てもお母様譲りよ。 先代のお爺さまによく似た鼻筋ねぇ。 まあ!見て頂戴!私を見て笑ったわ!ありがとうございます。 キバナ様を丈夫に生んでくださってありがとう・・・おばあちゃまったら泣いたらみんなが困ってしまうわ。 笑いましょ、今日はおめでたい日なのよ。 ママ!キバナさまってこんなにちいさいんだね・・・。 そうよ、でもすぐに立派なドラゴン使いになってしまわれるわ。 シーツにくるまって花冠を被りニコニコと笑う小さなキバナは、それだけで人々の心を射止めてしまう。 なんて可愛いのだ。 この子はナックルシティの宝だと皆がそう思った。 ナックルシティは伝統と歴史を重んじる地域柄、ガラル地方で唯一世襲制を採用しているナックルジムとの結びつきが強い。 ジムを代々守ってきたキバナのご先祖さまたちは元は大昔からこの街を治める一族で、かつての戦火からポケモンと共に街と人々を守ってきた偉大な方々ばかりだった。 そしてその中でもとりわけ優れた人間が一族の長、ひいてはジムリーダーに選ばれてきたわけだ。 街の人はみなその一生を敬虔な気持ちで、あの大きな大きなスタジアムを見上げながら生きていく。 「ドラゴンはね、お父さんたちにぴったりでしょう?宝物と住処を守る気高い生き物。 貴方には尊い血が流れているのね。 」 お母さんは幼いキバナを膝に乗せよくそう語りかけてくれた。 あなたはこの世に生を受けた瞬間からたくさんの人に愛されてる。 嬉しいことね。 素敵なことね。 キバナもどうかこの街を愛してね。 そう微笑む。 お母さんはドラゴンではないけれど、負けないくらいに美しくて賢い人だった。 「・・・うん!きばなはなっくるしてぃがだいすき!ぽけもんもだいすき!」 決まってそう返し、へにゃりと笑う小さな我が子に優しいキスを額に落とす。 遠い日の思い出だ。 そんな風に生まれ落ちてきたもので、当然のようにキバナは神に祈られ、人々の愛に応えるみたく立派に成長した。 7つになる頃にはお母さんの膝を飛び出し、お父さんの街の見回りについて回るようになる。 人々は二人を見て決まって歓声をあげ、挨拶の言葉なり会釈をし、時々店先の商品を持たせたがった。 何よりキバナの浮世離れした美貌ときたら。 思わず撫でたくなるような艶々の絹の黒髪、ミルクチョコレートみたいな色をした滑やかな肌、飴細工とおんなじに透けた空色の瞳。 甘やかな顔立ちとは対照的にすらりと長い手足だって、どこかアンバランスで危うげな雰囲気をキバナに加える。 その姿を見た人はみな思わず、ほう、とため息をついてしまう。 そうしてキバナが歩いた道はあとから甘い香りがした。 いつだって街中のご婦人たちはキバナの噂をしたがる。 「まあーまあ、キバナさまを見て!天使みたいよ。 砂漠の精霊とまでいわれるフライゴンを従えても遜色ない。 まるで絵画みたいねぇ。 」 「7つであんなに完成された容姿でいらっしゃる。 この前なんか広告モデルにどうかってジムのスポンサー方にお話しされたみたいよ。 」 「キバナさまは飛び級でナックルユニバースに通ってらっしゃるの。 モデルだなんて勿体ない。 古文書に囲まれて教養を深め、由緒正しいナックルジムを継ぐのが一番よ。 」 「本当に立派に育たれて、いつかあの誇りあふれるエンブレムを背負う日が来るのね。 」 「もうすでに大企業のご令嬢たちは目をつけてらっしゃるようよ。 ナックルはガラルの中枢都市だし・・・ジムリーダーとの結婚は太いパイプになるんでしょう。 」 「まぁ、まぁ。 お父さまとお母さまを見て、愛のある結婚をしてほしいわねぇ。 」 ひそひそ、ひそひそ。 それでも当の本人は気づかずに踊るようなステップで街を歩く。 手にいっぱい街の人から持たされた花やお菓子や本を抱えて。 フリルシャツが本当によく似合う少年だ。 キバナにとってジムリーダーになるための勉強は苦ではなかった。 それは母の愛ある教えと本人の天真爛漫さ、何より類稀な才覚によるものだろう。 ナックルジムの後継者といえば大人も音をあげるような英才教育を受けることになるというのに、キバナからはそう言った悲壮感や切迫感が全く感じられないのだ。 揺るぎなく愛されている、そういう自信が全身から溢れていて見る人全ての気持ちを洗い流すようにさっぱりとしている。 ジムの実習をこなし、ガラル中の難関資格をかたっぱしから取って、そうしてユニバースを首席で卒業した頃、キバナはまだほんの10歳だった。 その時には学会でも評価されるような論文をいくつも発表していたし、すでにお父さんは自分の息子にジムの運営のほとんどを任せていた。 ほんとうに、よくできた子である。 「お父さま、聴いていて!ストラヴィンスキーだよ!ペトルーシュカ!」 無邪気な声でポケモンたちと戯れながら、キバナは光の中で笑う。 その美しい指がピアノの鍵盤を跳ねる。 お母さんが感嘆の声をあげた。 その時お父さんはキバナが結婚したら泣いてしまうかもしれない。 だとかそんな情けないことを本気で考えたのだ。 * キバナをお嫁さんにしたい。 幼い頃、そうはっきりと思ったのをダンデはよく覚えている。 それが喧騒と熱狂に包まれていたバトルの最中だったか、それとも星空の下寝転び言葉を交わした静かな夜だったのか、きっかけなんて思い出せない。 気づいた時には恋い焦がれていたのだから。 いつだってダンデの中のキバナはくらくらしてしまうくらい真っ白で綺麗だった。 同世代の男の子とは思えないような洗練された美しさを持っている。 磨き上げた宝石みたいに煌びやかで、洗い立てのシーツみたいに清廉だ。 キバナはうっかり空から落っこちてきた人間とは違う生き物だと思う。 たぶん。 「天使には羽が生えていないんだな。 」 「てんし??」 「それに頭の輪っかもない。 」 腕の中できょとんとした顔をするキバナは堪らなく可愛い。 唇を指で撫でると嬉しそうに目を細める。 出会った頃とは違い、キバナの背はニョキニョキと伸びて程よい筋肉がついた。 綺麗な魂の容れ物、そう形容するに相応しい造形だ。 大きな掌はモンスターボールをすっぽり包んでしまうし、その豊かな体躯はもっぱら人々とポケモンを庇護するためのものだった。 天使だなんて、こんな大男に何を。 「ダンデは変なことを言うなぁ。 」 キバナはそういってダンデの肩にぐりぐり、と顔を押し付ける。 この匂いはペンハリガンの香水だ。 もう20歳になるのにこの男にはいつまでもこうして甘えてしまう。 お母さまがいたら「はしたないわ。 」と窘められてしまうだろうなぁ。 でもダンデも二人っきりの時はいつもキバナの体に触れたがる。 そしてキバナが離れようとするとちょっと不機嫌そうな顔をするのだから、お互い様だろう。 「キミは可愛いくて綺麗で崇高な存在ってことだ。 」 「そりゃオマエのライバルだもの。 」 ライバル、キバナにそう言われると胸が温かくなる。 まるでそこだけ血が流れるみたくじぃんと染み入って、そして自分は人間なのだと泣きたくなるのだ。 思わずその額にキスを落とす。 キバナは拒まない。 ライバルってこういうものだぜってダンデが昔から言うから。 こそばゆいけど嫌じゃないし。 「週末にキミのご実家に挨拶に行こうそうしよう。 婚約・・・じゃない、正式にライバル宣言だ。 」 「良いけど、ダンデ絶対迷うよ。 オレさまの家おっきいもの。 うちのジムの敷地の倍はある。 街のハズレにあるのに城みたいだとか言われて観光名所になってるくらいだぜ。 」 「そんなに大きいのか!?!?!?!?!?」 ダンデは生まれて初めてキバナの美しさ以外で目眩がした。 なんてことだ、一生辿り着ける気がしないぞ。 ナックルシティの由緒正しい名家だとは聞いていたけれど、そんなに立派なところにお住まいとは。 「うん。 ドラゴンポケモンは体が大きいし、各々個体に合わせた環境での育成が必要だから。 森とか湖とかもある。 きのみも採れるよ。 小さい頃のトレーナー訓練は全部家の庭でやってたなぁ。 その間は野生のポケモンたちも放されたりしてた。 人の足だと移動に時間がかかりすぎるから空を飛べるポケモンがいなきゃな。 あ、リザードンがいるから大丈夫か。 」 「一家に一ワイルドエリアみたいな話だな。 オレがキミのところに生まれていたら何度遭難したろうか。 」 「ふふ・・・あ、でも強いトレーナーはたくさんいるから楽しいよ!ナックルのジムトレーナーは引退したら大体うちの執事とかメイドとして働く人が多いみたいだから。 おかげで防犯もバッチリ。 リョウタなんか今から張り切っちゃってさ・・・。 」 「使用人までごまんといるときた・・・さてはキミ、ロイヤルファミリーか何かだな?」 「よくわかんないけど、お母さまはロココ調のボールガウンドレスが好きみたいだぜ。 こっそり普段着にしてるくらい。 」 「毎日が舞踏会????それともお母さまが天然なのか?」 「エプロンが付けづらいのよって悩んでたなぁ。 」 ちなみに月に一度は街を挙げてウチでパーティをするぜ。 たまーに他地方のセレブな方々 飛び出してきたのはビッグネームばかりだ。 と舞踏会やらで踊ったりもする。 昔からの付き合いなんだってさ。 そう無邪気に語るキバナに呆然としてしまう。 なんてことだ、プリンセスプリンセスと甘やかしていたライバルが本当のプリンセスだった。 キバナはうちではどんな感じなのだろうか。 タイトマーメイドドレスとかを着て欲しいな。 いやそんな話はしていないしキバナは男だ。 そういえば思い当たる節は多い。 なんというか庶民感覚が無さすぎやしないかとちょっと心配してはいたのだが、こんなところで伏線回収がされるとは。 ダンデに心配されるって相当だ。 そういえばキバナと会うお偉い方はこぞってペコペコしていたような。 ダンデは思わず遠い目をする。 気づくの遅すぎやしませんか。 byネズ 「ダンデ・・・?お腹でもいたいの?」 キバナは黙り込んでしまったライバルを心配そうに見つめる。 この反応は覚えがあった。 なんてったって自分の出自を話すとナックルシティの外で出会った友人たちはみな一様に距離を置きたがるのだ。 キバナの嫌な嫌な思い出。 まあそりゃそうだろう。 そんなところの御子息に傷なんてつけた日にゃとんでもないことになりますよ。 というのが子どもたちの保護者の見解だった。 あと純粋に価値観が合致しないのだと思う。 お金持ちってだけでやることなすこと嫌味に思われたりするわけで。 そうして周りから人が離れていくたび、律儀にもキバナはその優しい心を痛ませてヌメヌメと泣いた。 自分が悪いのだと思っていた。 だからダンデには黙っていたのに。 実家に来たいっていうから、うっかり口を滑らしてしまったのだ。 嬉しくって、大好きなお父さまとお母さまに会わせられるって。 キバナはしゅん、とする。 もうダンデが遊んでくれなくなったらどうしようとか年齢に合わぬことを考えた。 嫌だな、寂しくて死んじゃう。 そうして、じわ、とその瞳に水膜が張られる。 あとちょっとで泣き出しそうになって、ダンデはすぐにそれに気づいた。 「な、なんで泣きそうなんだ!?!?!?」 「う、ゔ〜〜〜ッ。 」 「ああ、キバナ。 泣くな、こらっ!目を擦るんじゃあない。 」 「だ、だって・・・・。 」 とうとう水滴が溢れた。 泣き顔を見られたくなくて、一歩離れてパーカーの袖に顔を押し付ける。 この所作もダンデと出会ってから覚えたものだった。 育ちのいいキバナは、それまでハンカチとかティッシュ以外で涙を拭ったことなんてなかったのに。 初めてバトルに負けた日、悔しくて悔しくて考える暇もなくそうしていた。 今だって自分の気持ちを抑えることが出来ない。 「みんな、オレさまのうちの話するとこうなるんだ。 」 もう嫌だ。 そう呻いて、ボールを取り出す。 フライゴンを出して何処かに飛び去ってしまう気だ。 気づいたダンデはその腕を掴んだ。 天使のくせに羽がないんだから、このままずっと地上にいてくれ。 ダンデはいつだって必死だ。 「あのな、キバナ。 」 「・・・うん。 」 「ライバルはキスしないんだ・・・。 」 「・・・?・・・?へ?」 ぽかんと口を開ければダンデの顔は鬼のような形相をしていて、それで真っ赤だった。 モモンの実みたいだ。 キバナはぼんやりと思う。 「そ、それでな・・・オレは、キミのことが好きだから、嘘をついてまでキスをしていたんだ。 その、その、・・・一人の男として!!!!!」 「ウワッっっ!?!?」 キバナの反応を待たずしてガバリと抱きしめられる。 ええい、ままよ。 といったところだ。 「オ、オレと結婚してくれ!!!!!!!」 一世一代のプロポーズ。 ダンデは天地がひっくり返るんじゃないかってくらいクラクラした。 どんな勝負の場面よりも重い賭けだ。 例えるならジュラルドンとリザードンが対峙し睨み合ってる時みたいな。 それともギガイアスのストーンエッジが急所に入るんじゃないかと冷や冷やしてる時みたいな。 お腹の底がぐんと重くなる。 勝算がないわけではない。 キバナの世界を一分一秒占めているのは世界中の誰よりも自分だという自信があったから。 「ダ・・・。 」 「・・・・。 」 「ダンデ、オレさまのこと、好きなの・・・?」 そうだって言ってるだろう。 そう喉まででかかった言葉が引っ込んだ。 キバナの顔も真っ赤だったからだ。 「す、好きなのぉ・・・?」 溶けたヌメラみたくへにゃりと地べたに座り込んでしまう。 ダンデは、キバナが、すき。 星降るみたく目の前がチカチカして心臓の鼓動がやけにうるさい。 ぐしゅ、だとかおかしな音がすると思ったら自分が鼻を啜る音で、もう悲しくないはずなのに涙が止まらない。 「そ、そうだぜ。 オレは、キミを、出会った時からお、お嫁さんにしたいと・・・。 」 いつもは明朗快活で物事をはっきりと言いたがるダンデでも、この時ばかりはゴニョゴニョと言葉が萎んでいく。 なんだかその様子がおかしくって愛おしくて、思わず吹き出してしまった。 「・・・ふ、ふふっ・・・。 」 「笑うなんてひどいぜ・・・。 」 「あははっ!!!・・・うんっ・・・・そうだなぁ!!!オレさまも、オレさまもダンデが大好きだ!!!!」 気がつけば耳元で福音が鳴り止まない。 こんなに幸せなことがあるだろうか。 だって目の前のかっこよくて優しくて強い、ガラルの英雄が、自分を好きだという。 その時気づいてしまった。 この男から与えられるものはバトルの興奮だとか熱狂だとか、あるいは甘ったるいくらいの愛情だったことに。 今の今まで大切に大切に腕の中で甘やかされて、そうして、結婚を強請られるところまで自分が骨抜きにされていた。 いや当たり前か。 騎士に殺されたドラゴンなんてこんなものだろう。 「・・・ふつつかものですが、末長く宜しくお願いします。 」 握ったその手は、びっくりするくらい熱かった。 * 「で、プロポーズ成立と。 」 やっぱりオマエらはぶっ飛んでいやがりますね。 スピード婚っつーか、その場で生まれたみたいな勢いで結ばれやがった。 バトルタワーの最上階、出された紅茶を啜りながらネズはそうぼやいた。 突然オーナー様から呼び出されたかと思えば、長年の同期と結婚することになったとかいいやがる。 ローズさんも1000年後のガラルに思いをめぐらせることはあれど、こんなところまで予想はしていなかったんじゃないか。 「いや正直、オレもびっくりだぜ・・・。 」 大きな体を縮こませ、顔を両手で覆うダンデに威厳もクソもない。 マリッジブルーってやつですか?だとかネズがからかえば、そんなわけないだろう!とかこちらがたじろぐ勢いで迫られた。 「キミに嫁の実家が太い男の気持ちがわかるのか!?!?!?嫁がリアルにお姫さまだった気持ちが!!!」 「もういっぱしの旦那気取りかい。 つーかオマエだって毎年ガラル長者番付にランクインしてるでしょうが。 」 「そうだが・・・そうだが・・・!」 ぐうう、と悶えるダンデはなかなかに愉快だ。 ヘイロトム。 その体には、今まで身につけているのを見たことがないジュエリーの装飾品があちこちに散りばめられている。 石油王みたいだ。 ソファのうしろには山ほどのプレゼント。 どうせあのドラゴンが婿へのマーキングと言わんばかりに貢いだものだろう。 金銭感覚がバカなのは相変わらずか。 ダンデの好きそうな帽子や筋トレグッズ、ポケモンに関する貴重文献から、社交界で着ていけるような上等なスーツまで。 ネズは諸々のお値段を見れば泡吹いて倒れる自信があった。 「もうすごい、なんか、キバナに囲われているオレって感じじゃないか・・・?あと金に糸目つけない感じが逆に清々しい。 すごい・・・こわい・・・ 純粋な恐怖 」 「そりゃキバナ自身やばいくらい稼げる男ですが、元々そういう環境で育ってきていますからね。 あの家系自体ジムを継いでいくことはそこのセレブリティとしての一端に過ぎない。 元は内部だけでなく他の地方の貴族階級やらともコネクションを築き、ナックルシティの商業を支え、中枢都市にまで発展させてきた門閥ですよ。 きっとキバナも札束で積み木をして、ブラックカードでババ抜きをしてきたんでしょう。 紙幣なんか鼻かむ紙とおんなじですよ。 」 「うぐぐ・・・高貴なる血・・・。 」 本格的に胃を抑え出したダンデはさらに続けた。 もう不安しかないのである。 白馬に乗って迎えにいくどころか、お姫さまの方がブガッティ ヴェイロン スーパースポーツを乗り回していた気分だ。 ネズ聞いてよ。 「それに!キバナはナックルシティから愛されすぎじゃないか!?!?婚約した次の日からどっから情報が漏れたのか知らんけど脅迫状や決闘状、不審物のオンパレードなんだが!!!!!」 ドサッ!と机に乗せられた段ボールのなかみは、なんというかもういっそ壮観といったところだろうか。 血文字で呪ってやる、と書かれた紙だとか、釘を打ち込まれた藁人形はもちろん、ご丁寧に手袋が同封された決闘状。 なかなかに笑える。 これは・・・バクガメスの甲羅と糞じゃねーかあぶねーな。 爆発するぞ。 マジのテロリストか。 バトルタワーのセキュリティどうなってんだ。 「聞いて驚け、その全部にキバナコスモスが添えられていてな。 どうやら天使には危ない従者が多くいるらしい。 二度とナックルの地を踏める気がしないんだが?」 「ブク・・・ッダーハッハッハッ!!!!何かあったら骨は拾ってやりますよ!!!」 「友達甲斐のない奴め・・・。 」 恨みがましそうな目で見られるが、いっそここまで参っていると面白い。 いい曲がかけそうだ。 結婚式は招待客関係者全員が爆弾を巻きつけて特攻してきてもおかしくないぞ、ダンデ。 「それでな」 「フフッ・・・グク・・・は、はい。 」 「明日ご実家に挨拶、だ。 」 「ダーーーーーーーーーーーーッ!!!!wwwwwファイナルトーナメント開催ですねwwww」 「こ、コノヤローーーーーーーーッッッ!!!!」 「ワーーーーッッッ!?バカバカ!オマエの体は今オマエ一人のモンじゃねえんだよ!!! 訳:ジュエリーに傷がつく 」 「オレは妊婦か!?!?!?!?」 身につけているとんでもねえ額の装飾品の存在をすっかり忘れてダンデはネズに飛びかかる。 そこから数分、二人のてもちのポケモンが止めに入るまで"マジ"の殴り合いは続いた。 こういう時はトレーナーとしてではなく、一人の漢として拳を交わすものなのだ。 ぜえ、はぁと息を乱し唇から血を滲ませカーペットに横たわるいい年こいた主人を、呆れたような目で見つめるリザードンとタチフサグマ。 カオスな光景である。 「ンフフ・・・ダンデ。 」 「なんだ・・・いやちょっと待てキミ。 オーナー服の袖が全部千切られているんだが。 ノースリーブ状態なんだが????????やりきったみたいな顔をするな。 」 「キバナはオマエとなら、ジメジメした二畳半の部屋でも三食ボブの缶詰でも笑って生きていけますよ。 」 「なんでそんなにいきなり落ちぶれたんだ?????なにがあったんだ?オレたちは???」 「あと引き出物はいらないので現金くださいね。 スーツケースいっぱいの。 」 「すっごいあつかましいな。 」 やけくそのように頭をガシガシとかくオーナー様を横目に、ネズは体を起こしタバコを吸い出す。 「・・・ダンデ。 」 「なんだ。 」 「結婚おめでとう。 」 「次からは照れ隠しに袖をちぎるなよ。 ・・・ありがとう。 」 「wwwwwww」 「笑うな。 あとここ禁煙だからな。 」 「副流煙で寿命と結婚生活を縮めてやろうかと。 」 「陰湿か???????」 煙に怒り狂った秘書に部屋を叩き出されるまで、二人の男は馬鹿話を続けるのであった。 次の日挨拶のためナックルシティに足を踏み入れるなり、街中の人間から竹槍を持って追われ、最終的にキバナの父親から「てっていこうせんーーーーーーーーーッ!」と熟練のジュラルドンの一撃を喰らうことになるとは、この時のダンデは知る由もないのであった。

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【ポケモン】小さな挑戦者【キバナ】

キバナ 小説

あの時、いつかの頃、憧れていたトレーナーを見つけた。 オレさまがポケモントレーナーになる前、ガキの頃に何度かテレビで見たことのある顔だった。 遠い地方のポケモントレーナーだった。 恐ろしくポケモンバトルが強く、瞬く間に話題になり、そして何故か突然、忽然と姿を消した女トレーナーだった。 そのバトルの苛烈なまでの強さにとても強く惹かれた、いつかバトルをしたいと夢に思った人物だった。 だから顔は覚えていたし、あの頃より大人びてはいたものの、その変わらぬ姿を偶然ワイルドエリアで見つけた時、真っ先に声を掛けた。 この、オレさまが……バトルを誘った……のは、まだよかった。 だが彼女が申し訳なさそうに放った言葉に心底ショックを受けた。 「ごめんよ、バトル引退したんだ」 膝から崩れ落ちた。 ショックすぎて覚えていないが。 このオレさまが膝から。 ロトムがばっちりと膝をつく写真を撮っていたので間違いない。 なにやら色々と訳ありで遠くの地方から飛んできたらしく、なんでもとあるポケモンのメンタルケアのためにガラルに飛んできたらしい。 なのでバトルは無理だと。 そうか……なら仕方ない……とはなるか!! こんなことで諦められる理由になるかキバナ!! オレさまのレアリーグカードを渡したら、彼女は目をぱちくりとさせ、リーグカードとオレさまの顔を見合わせて「ジムリーダーさんかぁ!すごいね!」と無邪気に笑ってみせた。 これはもしかして脈ありなんじゃないか? 「なら……そのポケモンのメンタルケアが終わったら、オレさまとバトルするよな?」 「……うーん、無理!ごめんね〜!」 は!?!? 何故だ!!!!!!!! このキバナとバトル頑なにバトルしたくないトレーナーなんて存在しているのか!? 二度めのお断りにこのオレさまが真顔になった瞬間、ロトムスマホがパシャリと音を立てていた。 いや撮んな。 こんなキバナの姿を撮るな。 「なッッッンでだよ!!!!! お前、本当にバトル引退しちまったのかよ!?」 「うん」 「なんで」 「なんでと言われても…」 「辞めちまった理由はなんなんだ!? あんなに強かったのに!!」 「強くなっちゃって、調子に乗ってしまったからなんだよ、キバナくん」 オレさまの問いかけに、困ったように申し訳ないように、女は言葉を続けた。 なんなんだよキバナくんって、オレさまをこどもみたいに! 「あのまま調子に乗った私がやったこと、なんだと思う?」 紫色をしたボールを愛おしげな眼差しで撫でる姿に、何故か背筋がぞくりとした。 と、同時に何かがちくりと痛んだ。 「調子に乗った私は、とある研究施設をね。 一方的に破壊して、研究に使われていたポケモンをね、無理矢理に奪ったんですよ」 義憤に駆られて。 この子を助けるために。 だから、私はとある組織からは指名手配犯なので。 この子と一緒にどこまでも逃げなくちゃいけない。 なのでそっとしておいてくれるかい? 有名なあなたとバトルしたら、間違いなく居場所がバレてしまう。 なので。 儚げな笑顔だった。 覚悟している顔だった。 いつどうなるかわからないから、あなたとは友達になれない。 バトルできない。 だから私のことは忘れてくれるかい? 心底……心底腹が立った。 その覚悟に、その諦念に、とても腹が立ったので。 その間抜けな顔をスマホロトムに収めることにした。 パシャッ という音とともに、みるみるうちに彼女の表情が青ざめていく。 「なになになになにしてんのキバナくん!?!?」 ようやく彼女から、人間らしい表情を引き出すことができた。 ロトムスマホを奪い取ろうと詰め寄るも、オレさまの身長にはまるで届かない小柄な体が、オレさまからスマホを取れるわけがないのだ。 「おもしれー顔だったから撮っただけだけどー?」 「ちょっ!消して消して消して!」 「えーどうしよっかなー そのままSNSにアップしちゃおっかなー?」 「やめろー!キバナくんやめて!やめろー!」 「なら」 その小柄な肩を掴み、背を屈めて目を合わせた。 その瞳には動揺が浮かんでいる。 「諦めんなよ、あんたは誰よりもポケモンが好きだったはずだろ!好きだったから、あそこまで上り詰めたんだろ!!!胸を張れよ!」 「あ……う……」 「あんたがそのポケモンを助けたのも、調子に乗ったんじゃなくて、あんたがそいつを助けたいって強い思いでやったことじゃねぇのかよ!」 「……………」 彼女の瞳に戸惑いの色が浮かんでいる。 キバナは、なにもかもを諦めているあの顔よりも、ずっとこの人間らしい表情をした彼女の方が好ましかった。 「オレさまは、アンタとのバトルを望む! だからオレさまのリーグカード、捨てんなよ!」 颯爽とフライゴンに乗り、無事彼女の弱みも握ることができ、なにより憧れのその間抜けな面を写真に収めることができた。 遅かれ早かれ、オレさまとバトルすることになるだろう。 彼女に取り巻く面倒くせーやつらはオレさまが全部潰すとして。 彼女の連絡先を聞いていないということを。 「アー……やっちまった……」 項垂れるキバナの心の中に、彼女のことが埋められつつあることに、まだ本人は気付いていない。 優しくマスターボールを撫でる彼女に、胸が何故かちくりとしたことすらも、まだ気付いていないのである。 あの時の憧れが、何かに変わってゆくことすらも、まだ……彼は知らないのである。

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